クリスマス・イブ。松江といえば、お茶と和菓子とお蕎麦。そんな和づくしなイメージがあるのだが、駅前などの繁華街を覗いてみても、ここまでクリスマスな雰囲気のない街が日本にもあるものかと思わせる地味さ。ある意味正しい日本です。今日は昨日に引き続き、窯元巡り第二段として布志名焼窯元の船木伸児さん宅を訪れる。(船の字は、本当は右側が‘公’の異体字)船木窯6代目当主の信児さんのお宅は、宍道湖を臨む広い庭の美しい一軒家で、バーナード・リーチが宿泊した純和風の離れと、重厚なヨーロッパ風サロンのある母屋の繋がった見事な建築だ。もともと大正時代には、欧米への輸入食器を沢山作っていた窯元だけに、現存する当時のモダンな陶器もため息のでる美しさ。祖父・道忠さんが使っていた化粧泥(スリップ)の手法を伸児さんも受け継ぎ、彼独自の感性で作品にしている。「僕は、いわゆる芸術のために器を焼く陶芸家と、日常で使われる実用の陶芸家のちょうど間にいる存在だと思います。」という伸児さん。実際、大切に飾っておくにはもったいない、見た瞬間に料理がぱっと浮かぶような、上質の生活臭も伸児さんの器から感じる。しかし、あくまでもはれの日に使いたい、そうゆう作品をアートとして愛でる力も兼ね備えている。私がもっとも好きなタイプの風情をもった器たちだ。イギリス暮らしの長いOとも、話に花が咲き、次回は「一升瓶を抱えてきますので、ぜひ呑みましょう。」と、約束。ところで、昨日から普段の仕事根性が丸見えの、まるで取材文みたいになっているが、湯町窯も船木窯も、ごく普通の一般客として突然訪れただけのことだ。(事前にお電話しましたが。)別段、こちらの素性を明かしているわけでもなんでもない。そんな怪しい二人組みに、福間さんしかり、船木さんしかり、とても温かく迎えてくださって、感謝この上ない。ちなみに、船木さんの作品をひとつ買わせて頂いた。スリップ・ウェアの黄色いお皿である。タルトやチーズ、おにぎりをのせても映えるだろうな。もうひとつどうしても欲しかった大皿があって、そこには煮込みハンバーグやロールキャベツを今すぐにでも盛りたい!と思ったが、相変わらずの貧乏で購入叶わず。がんばれば買えるお値段なのに、がんばれないふたり。「こうゆうとき、金持ちになりたいなあって心底思うよな。」とOがぼそり。「Oが良い物の価値がわかる人で、それにお金を出したいと思ってくれたことが、なによりのクリスマスプレゼントだよ…。」と寂しくほくそえむ私。ああ…今日の宍道湖の夕日はなんて美しいのだろう。